03-12-01 : ひとこと言わせて頂けば「代理人交渉」(弁護士原 和良) 

最近小学校2年生の息子が、少年野球チームに入団した。土日は、早朝から張り切って練習に出かけている。私もたまに練習に顔を出して、球拾いやノックに付き合っている。

 子ども達にとって、あこがれはやはり大リーガーとなった松井やイチローをはじめプロ野球選手。
シーズンオフになって、契約更改のニュースが報じられているが、一番の話題は、ジャイアンツの上原投手の代理人交渉をめぐる問題だ。読売球団は、本人交渉しか認めないという。代理人交渉を認めると年俸が高騰して球団経営を圧迫するというのが理由のようだ。代理稼業をしている私には理解できない理由だ。
選手会(プロ野球労働組合)は、年俸や労働条件に関して専門家を代理人に立てる権利を要求している。選手としては、交渉は代理人に任せてオフにはゆっくりと休養と調整をしたい、客観的なデータや根拠に基づいて正当な要求をしたい、というのが強い希望だ。
華やかにみえるプロ野球選手だが、その身分は極めて不安定だ。働いてなんぼの世界。ケガで試合に出場できなかったり、成績不振が続くとたちまち路頭に迷ってしまう。しかも、サラリーマンならこれからという35~40歳前後には、「定年退職」となってしまう。20~30歳そこそこの若者達が、球団相手に一人で金銭交渉に臨むことは、球団にとっては赤子の手を捻るようなものだ。選手達は、球団の機嫌を損ねまいと、萎縮して言いたいことも言えない。大リーグでは代理人交渉は当たり前となっている。グローバリズムを言うのなら、封建的労働者支配をやめて、それこそアメリカを見習うべきではないだろうか

(弁護士原 和良「ひとこと言わせて頂けば」2003.12掲載)

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