11-08-31 : となりの弁護士「Good morning!」(弁護士原 和良)

1 私を含め中高年世代の多くは、中学校入学と同時に生まれて初めて英語に出会った。This is a pen.と並んで最初に学ぶ英語の挨拶は、Good morning.という慣用句である。

何回も練習させられた。私にとって約35年前の体験である。

2 九州の片田舎で育ち、外国人も見たこともない私にとって、Good morning.は、新鮮でかつ違和感のある言葉だった。日本語では「おはようございます。」である。でも、「おはようございます。」とは、一日の早い時間(午前)=客観的状態を表す言葉である。他方、Good morning.とは、「いい朝ですね」(あるいは「いい朝になるように」)という話し手や相手の主観的気分や願望を表す言葉である。

へそ曲がりの私は、Good morning.という問いかけに対して、Good morning.と挨拶を返さなければならないのか不思議でたまらなかった。

3 人生いろいろ、毎朝の気分もいろいろである。嫌なことがあった翌朝や今日はしんどいスケジュールがある日は、「Bad morning.」と回答すべきではないか、英米人は頭がおかしいと思っていた。

こんな違和感から始まって、英語の世界に何故かのめり込んだ学生時代だった。塾もない田舎で、毎日ラジオ講座で必死で英語を勉強した。今でも英語が大好きである。

4 社会人となって、経営者となって、今、いろいろな壁にぶつかる中で、何故「Good morning」なのか、その謎が半分分かってきたような気がする。

挨拶とは人と人が交わる最初の入り口である。コミュニケーションの入り口である。では、コミュニケーションとは何のためにあるのか。

.コミュニケーションの目的は、相手を気分よくさせること、気持ちよくさせることである。そして、不安の壁を取り除くことである。だから、どんなに不愉快でも気持ちを込めて「Good morning.」なのだ。

5 気分がよくないとき、物事がうまくいかないときは、ついつい目の前の人に当たりたくなる。しかし、まずは相手を気持ちよくさせること、もし、相手に変わってほしいと思うときは、思い存分気持ちよくなった後に、控え目に指摘してあげたらよい。自分で気づくヒントを与えるだけでよい。

人は自ら変わろうと思わない限り、変わらないものだ。

先週は、南相馬市の被災現地の仮設住宅、避難所を周り原発補償のセミナーと個別相談を行ったが、被災地でもやはり朝の挨拶は、「Good Morning」である。

以 上

(弁護士原 和良「となりの弁護士」「オフィス・サポートNEWS」 2011年8月号掲載)

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