05-11-01 : ひとこと言わせて頂けば「図地分節(ずぢぶんせつ)②」(弁護士原 和良) 

図の2は、何に見えるだろうか。単なるまだら模様の意味のない絵に見えるかも知れない。これは、イエスの顔と呼ばれる有名な絵だそうだ。真ん中上部に彫りの深い男性の顔が見えただろうか。一度この顔を見たら、何度この絵を見ても人は、イエスの顔意外にこの絵を理解することはできなくなる。そうしなければ意味のないまだらの絵を正視することはできなくなるのである。

われわれが、主にマスコミを通じて日々取得している間接的な情報は、すべて伝える側の「図」が否応なしに反映されている。しかし、事柄の本質は実は背景に隠されている「地」の部分にあることも多い。マスコミに踊らされるというのは、「図」にばかり気をとられ「地」を見逃し、本質に気がつかなかった場合を総称するといってもいいだろう。

図地分節は、日々の経営や生活にも参考になる。自分や自分の会社を人はどうみているのだろうか?「図」として意味のあるところに周囲の焦点があっていなければ、事業はうまくいかない。その場合には、「図」に注目してもらうよう経営戦略を練り直す必要がある。また、自分や会社の情報は、「図」の捉え方、「地」の捉え方にズレが生じてないか、いつも点検が必要である。自分は、杯ばかり見ていて、人の顔が見えていないのではないか、たまには見方、発想を変えて顔の側から自分を捉え直すと、新しい発見ができることが意外に多いのである。そこには、コペルニクスがいるかもしれない。

以 上

(弁護士原 和良「ひとこと言わせて頂けば」2005.11掲載)

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