16-11-25 : となりの弁護士「顧問弁護士」(弁護士 原 和良)

Q:このたび、個人事業から会社化することになりました。当面は、従業員は雇わず細々と事業を始めたいと考えています。ぜひ、先生にはこの先アドバイスをいただきたいのですが、私のような会社でも顧問弁護士をつけるべきでしょうか?

A:

1 弁護士とは何か

弁護士の役割、価値とは何なのでしょうか?第一に思い浮かぶのは、 ①あなたやあなたの会社で起きた法的トラブルに対して法的知識と経験を駆使して最大限あなたの利益のために対応する、という役割があります。しかし、トラブルが起きてからトラブルが大きくなってからの仕事ばかりではありません。近時 、②予防法務という言葉をよく聞きます。弁護士は、トラブルを未然にあるいは大きくならないうちに対応して取り返しのつかない損害が発生することからあなたやあなたの会社を守ります。例えば、契約書一つとっても、契約・取引はうまくっているうちは、あまり意識しませんし契約書がなくても取引自体は成立します。しかし、いつも取引先とうまくいくことばかりではありません。関係が悪くなった時、トラブルになった時に、契約書がないとまた契約書に不利なことが記載されていると、大きな損害を被ることになります。トラブルをたくさん見ている弁護士は、先に契約書を見せてもらうとどこに問題があるかおおよそ見当がつきますので適切な修正アドバイスができるでしょう。また、訴訟になってからではなくつまずいた初期の段階で相談してくれると、こじれたときにあなたの会社を守る対応や証拠づくりをアドバイスしながらトラブルを最小限の労力で解決するアドバイスができます。

さらに、私たち弁護士は依頼者に満足してもらうためにさらなる ③付加価値を提供しなければならないと思っています。それは必ずしも狭い意味の法的サービスにとどまりません。弁護士は、さまざまな分野の経営者や経営のトラブルに日々付き合っています。また、自分自身も経営で日々苦労をしています。経営者はよく孤独と言われます。いろいろな批判や反対がある中でも常に決断をしなければなりません。そしてその決断に対して責任をとらなければなりません。

このような苛酷なミッションを背負った経営者のみなさんに、自分の経営上の失敗や他社の実践例なども紹介しながら、経営全般の相談、弁護士ならではの人的ネットワークを使っての支援などができることが強みだと思います。

2 顧問弁護士のメリット

ケイスバイケースの相談でだめなのか。もちろん、OKです。私は親身に対応します。でも顧問として日常的に関わっていると、より適切かつ迅速な対処が可能だということは継続的に顧問関係を持つことのメリットです。また、交渉やHPなどで顧問弁護士を表示することにより会社の信頼感を高め、またいい意味で緊張感のある取引関係が構築できるメリットもあります。

3 対価としての顧問料とその適正

顧問料は高いのか?価格については2つの側面から検討する必要があります。「日本の中小企業は,ガラスの破片だらけの道を裸足であるいている」とよく言われます。顧問料は,一般的に月額5万円~10万円の範囲です。立ち上げたばかりの法人成り企業や,業況が芳しくない場合には顧問料についても柔軟な対応をしています。法務担当者を雇う人件費と比較してみれば,必要な経費とかんがえることができるでしょう。また,弁護士の方も,顧問料をいただく以上,料金以上のメリットを提供するよう努力をします。夢があり社会に貢献する志の高い会社は,心から支援したいと思います。顧問先は,事業パートナーとしてWIN=WINの関係をつくることを心がけています。

以上

(弁護士原 和良「となりの弁護士」「オフィス・サポートNEWS」 2016年11月号掲載)

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