1 毎日、忙しく暮らしていると、世の中と自分が目に見えない速度で、日々少しずつ変化していることに気がつかない。世の中には、ほとんど永遠に近く不変なものもあるが、一見不変なもののように見えても、確実に変化しある日急変してしまうものが多いことに気づく。
変化は、自分の周りの自然現象にもある。太陽だって、月だって日々変化しているし、この地球も確実に変化している。昨今の温暖化現象や異常気象も変化の一つである。われわれ生物も例外ではない。個々の人間には、例外なく、誕生、成長、成熟、老化があり、最後は死を迎えることは避けられない。
2 変化という点では、社会もそうである。昨年は、アラブの春というエジプトをはじめとしたイスラム社会で、大きな社会体制の激動があった。アジアでも、今、中国、韓国、アセアン諸国など、社会体制の大きな曲がり角を迎えているように見える。タイでは、2月の総選挙をめぐり、体制派と反体制派との対立が激化し、国は大きく揺れ動いている。
3 どこにいようと、生きている限り、変化に遭遇することは避けられない。日本ではどうだろうか?今までも社会体制、製材体制がすでに機能しなくなって、変化が必要とされているといわれて久しい。430万票を獲得して一昨年に都知事に当選し盤石と思われた猪瀬氏も、不透明な金銭の授受をめぐって瞬く間に権力の座を追われた。消費税の増税も予定さている中で、世の中の急変が起きそうな予感がある。
4 この変化の兆しを吉とみるか、凶とみるか。よく、このような問いかけがなされるが、外部で起きている変化は、それ自体は吉でも凶でもない。外部と自分を対峙させて吉凶を占うのは、人生の傍観者的味方であろう。あるのは変化という事実そのものであり、問題は、その変化に自分はどう対応するのかという自分のかかわり方だけである。その際、変わらないもの、変えられないもの、変えるのが著しく困難なものを、力づくで変えようとすることは難しいし、ストレスがたまるだけである。外部環境に適応して変えられるもの、に力を集中することが大事である。では、最も確実に変えられるものは何か。それは、自分自身である。自分が変わることを拒否するものは、うまくいかない原因を外部や他人に求めたがる。しかし、それでは、いつまでも変化は生まれない。
以 上
(弁護士原 和良「となりの弁護士」「オフィス・サポートNEWS」 2014年1月号掲載)