12-01-31 : となりの弁護士「相談」(弁護士原 和良)

Q 中堅企業に勤めるOLです。私は、妻子のいる同じ職場の上司Aと恋愛関係になりました。Aは、先日奥さんと離婚協議を成立させ、私も不倫相手ということ訴えられ慰謝料を支払いました。

先日、私とAは、社長に呼び出され『二人で同じ職場はよくないから、どちらかが退職してほしい』と言われました。社長は、私と上司のせいで職場の雰囲気が悪い、と言われ、来月末までにどうするかを決めろと言われました。

私と上司は、前妻との問題を解決して、仕事は普通にしており、このことで職場に迷惑をかけるようなこともしていません。社長が興味本位で社員に話をしたために一部の社員が事実を知ることになりました。社長からの退職勧奨は受け入れなければならないのでしょうか? 執拗な退職干渉のため、体調を崩し休職しています。

 

A  退職勧奨は、社員の自発的な退職を促すものであり、これに応じるか拒否するかは、あなたの自由です。会社が、執拗に退職を求めてくる場合は、それ自体が不法行為となり損害賠償の対象となります。

退職勧奨に応じなかった場合、会社があなたを懲戒処分にしたり、解雇することが考えられます。しかし、しかし懲戒処分にするには就業規則などで懲戒の事由と懲戒の処分が定められている必要があります。また、解雇をするには、客観的に見て合理的な理由と社会通念上相当性が必要です。あなたたちの行為は、社会的にはほめられた行為ではありませんが、奥さんとの間で解決が図られていること、あなたたちの行為によって会社の業務に具体的な影響が及んでいるわけではないこと、からすれば、解雇に合理的な理由はなく社会通念上相当とは言えず解雇は無効であると考えます。

精神的なストレスから体調を崩されたようですね。法的には退職を拒否する権利があること、休職に関しては職場環境配慮義務違反により損害賠償請求も可能である、ということにしっかり自信を持って、今後のあなたの健康やお二人の人生のためにどのような選択をすべきか、パートナーともよく話し合って結論を決めてください。

以 上

(弁護士原 和良「となりの弁護士」「オフィス・サポートNEWS」 2012年1月号掲載)

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