1 1月3日付けの朝日新聞では笑いについての特集記事が掲載されていた。よく笑うのは20代(80%)で、一番笑いが少ないのは50代(54%)だそうだ。中高年は、笑っている場合ではないようだ。
2 許しがたい無差別殺人が続く中で、精神異常者の監視が社会的関心となり、治安の強化や性犯罪者の情報開示などが言われているが、にわかには賛同できない面もある。精神異常に追い込まれていった経歴をたどると、家庭的な不幸やリストラなどが背景にある。「自由競争至上主義」路線の行き着く先であり、社会政治の責任と無関係ではないからだ。弱者・敗者には恨みとストレスがたまり、はけ口のない恨みは犯罪へと結びつく。治安と犯罪のいたちごっこである。
3 笑いに話題を戻すが、リストラや病気、失恋や離婚、災害など人生の挫折はどんな社会体制になってもなくなりはしない。
朝日新聞の記事に笑いの効用ということが書いてあった。農学者と医学博士の対談である「生きている。それだけで素晴らしい」(PHP)という本には、糖尿病患者や高血圧症の患者に、落語を聞かせたところ驚くほど数値が改善したという報告が載っていた。末期の癌患者が、病気を受け入れ癌とたたかう意思をもつことで、現代医学では解明できない治療効果をあげたという話もよく聞く。「病は気から」はあながち嘘ではない。
どうせなら人生、笑って前向きに生きる、というのがいいらしい。仕事も、ストレスと感じるか、楽しむ道具と考えるかではかどり方は違ってくるのである。あのイチローは楽しんで野球をやっているのだろう。前掲の本によると、生命学的には、自分がこの世に生まれてきた確率は、1億円の宝くじに100万回連続して当たったのと同じ確率だそうだ。だったら、生きているだけでエリートなんだから、少しくらい人より頭が悪くったって顔が不細工だって贅沢言わずに人生を楽しみたいものだ。
以 上
(弁護士原 和良「ひとこと言わせて頂けば」2005.2掲載)