13-05-31 : となりの弁護士「最近の若い者は…」(弁護士原 和良)

1 最近ある大学の先生と飲んだ席で、今の学生は幼稚、精神年齢=実年齢-10才、と考えればちょうどよいという話をしていた。マイナス10才という表現が正しいのかどうか私にはわからないが、そういわれてみれば、自分が20代、30代の頃と比べれば、大分考え方が違うなあと思うこともよくある。

2 もっとも、昔の50代、60代、70代の方々は、ほんとに若々しい。先日、99才の依頼人であるご婦人と事件の打ち合わせをしたところ、75才の息子が最近物忘れが激しくボケてきたのが、母親としては大変心配だと話していた。ついでに、3.11の地震はどうでしたか、と聞いたところ、関東大震災(1923年、当時9才)の方が縦揺れがもっと大きく、3.11の比ではなかったとおっしゃられていた。妹を自宅の2階でおんぶして子守をしていたときに、震災が起き、階段が崩壊。必死の覚悟で階下へ飛び降りて逃げた、本当にあのときは怖かったと、まるで昨日の出来事のように話してくれた。

3 「今の若い者は…」というのは、年寄りの若者に対する批判の決まり文句である。社会人としての自覚がないという点は、いろいろな意味でマイナスに働くこともあるだろう。

しかし、大人になるということが、社会的安定を優先して身を固めること、古い世代のつくった常識の枠を従順に守ること、既成のシステムに組み込まれて身動きができないようになること、だとしたら、それは寂しいことだし、その批判はあたらないだろう。

受験競争を勝ち抜いていい学校に進学し、いい会社に就職する。いい結婚をしていい家庭をつくり、いい年金生活を送る。という「いい」生き方は、もう存在しないのである。

今の流動的な社会では、20代、30代でとても身は固まらない。就職も、結婚も、そう簡単ではないし、固める必要もない。むしろ、固めないで挑戦と試行錯誤ができる環境を保障してあげることこそが、次の時代をつくることになるのではないだろうか。

4 再婚の夫を数年前に病気で亡くされた85才のご婦人の依頼者は、最近、70代の若い男性から結婚を申し込まれた、と話されていた。そろそろ身を固めようかという相談に、それもいいんじゃないですか、とアドバイスした。

以 上

(弁護士原 和良「となりの弁護士」「オフィス・サポートNEWS」 2013年5月号掲載)

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