13-01-31 : となりの弁護士「反原発」(弁護士原 和良)

1 反原発、脱原発、卒原発…。3.11以降、原発エネルギー依存からの脱却を求める声は止められない日本国民の世論となっている。、安倍自民党の圧勝にもかかわらず、である。他方で、原発依存体質はこの日本社会には根強く、思うようには世の中動かない。
自分は良心に誓って反対、というのが自己満足に終わることなくどうやって結果につなげられるのか?3.11以降、私自身が追い求めていた出口である。
2 1月の連休、数名の経営者らとともに、福島市、伊達市の原発被害地域の調査に出かけ、福島県の各自治体単位の太陽光発電企業組合の連合体である「ひまわり連合」の幹部の方々と酒を酌み交わしながら福島と日本の未来を語る中で、少し答えが見えてきた。
言うまでもなく、原発被害で問われているものは原発被害補償だけではない。戦後の政治システム、中央と地方の関係、都市中心の企業社会と農村・農業政策のあり方、民主主義と国民の生き方そのものが原発事故を一つの契機として一人一人の日本人に問われているのだ。
高濃度汚染地域に住み、屋外遊びを禁止されて住む子どもたちとそこで子育てを続ける、いや続けるしか生きるすべがない家族。農業と地域の真の再生とは何なのか。難し問いに必死に答えようとする人たちがいたことへの驚き。
3 ひまわり連合の理事長、森茂雄さんたちとの意見交換。戦後日本人のあり方への根源的な問題提起であった。
GHQの農地解放政策のメリット、デメリット論から始まり、お上に従い思考停止することを是とする日本人への痛切な批判と、それでもなお隣人を愛する心。原発事故があってもなくても、消滅しつつあった限界集落(65才以上の人口が50%以上で共同体としての機能の維持が困難な集落)の問題を解決しない限り、問題は解決しないのだ。
単なる再生エネルギー政策に止まらない100年、200年先を見据えた日本社会論と日本人論。目的は一人一人の幸福であって脱原発、再生エネルギー問題はあくまでも手段であって、問われているのは日本人としての生き方そのもの。これこそ探していた未来社会論だったのかもしれない。
4 「喰っていくためにはしかたない」。幸せになるためにこの言葉を人は乗り越えなければならない。何でも人のせいにしていてもなんとか人に依存して、喰っていけてしまう日本人の課題である。

以 上
(弁護士原 和良「となりの弁護士」「オフィス・サポートNEWS」 2013年1月号掲載)

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