ちょっと古い話になるが、ひと頃のホリエモンはマスコミジャックを続け、ライブドアは、テレビ・新聞の露出度ナンバーワン企業だった。その行動の善し悪しは賛否両論あるとしても、日本が確実に新しい時代に入っていることは確かである。
20年前、私は大学生だった。今振り返ると、実はこの20年は日本の歴史にとって100年に値する大激動の時代だったのではないだろうか。
85年は、経済的にはアメリカとの間で日米間の貿易不均衡を「是正」するため「プラザ合意」が結ばれた年である。宮沢喜一元首相は、プラザ合意を60年安保と並ぶ戦後政治の画期と評価する。この合意がバブル経済を招来し、いまだ立ち直れない日本経済の不況の始まりだと回顧する(「宮沢喜一回顧録」岩波書店)。当時、軍事費負担と貿易赤字の双子の赤字に苦しんでいたアメリカは、日本に内需拡大=貿易黒字の解消を要求し、円高ドル安政策が加速される。そして、円高と内需拡大政策の中で、バブルに踊らされる一方、日本は経済の構造転換を迫られ、日本経済は様変わりした。アメリカ経済ひとり勝ちの下でグローバル化が進み、雇用の流動化と所得格差の拡大が進み、大銀行や大企業の倒産も相次いだ。ライブドアはその戦国時代が生み出した新興企業である。
この20年の大転換のもう一つは、IT化である。ビル・ゲイツが世界標準の「ウィンドゥズ1・0」を発売したのが85年である。世界のどこにいてもリアルタイムで情報交換が可能となり、ビジネスはアナログからデジタルに移行し、それにフォローアップできない企業は淘汰され、有効に活用できる企業は爆発的な発展を遂げている。ホリエモンはこの流れの必然でもある。
誰にも押し止められない新しい時代に入っていることを認識して、その中で個人も自分の会社もどう変わるか、が実は日本人には共通に問われていると思うのだが、激変に気がついていない人や変化を受け入れられない組織は多い。ゴーイングマイウェイはもちろん結構だし、グローバル化=善でないのはもちろんであるが、目をつぶっていても変化は変化であって、それを現実として受け入れなければならない。変化することを拒否したときは、いつの間にか時代に取り残される。
以 上
(弁護士原 和良「ひとこと言わせて頂けば」2005.7掲載)