20-09-30 : となりの弁護士「ギンズバーク米連邦最高裁判事の逝去」(弁護士 原 和良)

1 アメリカで最も尊敬された女性の一人と言われるギンズバーク米連邦最高裁判事が9月18日、すい臓がんのために亡くなった。87歳の現役最高裁判事で、亡くなるまで一日も休まず裁判官としての執務を続けたという。

ギンズバーク判事は、1954年に名門コーネル大学を首席で卒業し、結婚後一児を出産し、弁護士資格を取るためにハーバード・ロースクールに子育てをしながら入学し、優秀な成績で卒業し弁護士資格を得る。

しかし、当時の法曹会は、根強い女性差別があり、法律事務所への採用はすべて断られたという。

その後、大学の教授の職を得て、女性の権利を研究するプロジェクトを立ち上げ、女性差別撤廃の訴訟を次々と提訴し、輝かしい勝利を重ねていった。

その内容は、日本でも公開されている映画「ビリーブ・未来への大逆転」やドキュメンタリー作品「RBG 最強の85歳」の中で紹介されている。

2 1980年、カーター大統領によってコロンビア特別区巡回区連邦控訴裁判所判事に指名され裁判官となり、1993年には、クリントン大統領によって連邦最高裁判事に指名され就任する。女性として歴代二人目の連邦最高裁判事だった。

保守派が過半数を占める連邦最高裁の中で、彼女の意見はdesent(反対意見)であることが多かったという。それでも彼女は、自分の良心に従い米国市民の心に沁み込む反対意見を書き続けた。

その反対意見が、自由と平等、民主主義、男女平等、マイノリティの権利実現を求める米国市民の心の拠り所となっていたという。

3 話は変わって、今年は、日米でマスクが話題になった。日本では、アベノマスク、アメリカでは、ナオミマスクである。

2020年5月25日、ミネソタ州ミネアポリスで白人警察に殺害されたジョージ・フロイドさんの事件をきっかけに、全米で「Black Lives Matter」の黒人人種差別に反対する大きな運動が巻き起こった。大坂なおみは、全米オープンテニスの大会で毎試合、黒人差別の犠牲になった7名の名前を書いた黒いマスクを着用して会場入りし、大きな話題となった。

4 大坂なおみの行動を見て、私は、ギンズバーク裁判官の活動は、市民を励まし、世界を変える活動であったことを確信した。

ご冥福を祈りたい。

 

以上

 

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