20-12-28 : となりの弁護士「オンラインでのマンション管理」(弁護士 原 和良)

1 マンション管理組合の理事会をオンラインで開催することはできるか?

とあるマンション管理組合の理事長さんからこのような相談を受けました。

ちなみに、電話会議・テレビ会議などオンラインでの会社の取締役会は、かなり以前から有効とされてきました。

法務省民事局参事官室の平成8年4月19日付「規制緩和等に関する意見・要望のうち、現行制度・運用を維持するものの公表について」と題する文書では、「取締役間の協議と意見交換が自由にでき、相手方の反応がよく分かるようになっている場合、すなわち、各取締役の音声と画像が即時にほかの取締役に伝わり、適時的な意見表明が互いにできる仕組み」があることを条件に、オンラインでの取締役会は有効とされています。また、オンラインでの株主総会も可能とされています(株主総会(オンラインでの開催等)、企業決算・監査等の対応 (METI/経済産業省))。

 

2 オンラインでのマンション管理組合総会は可能か?

これについては、区分所有法は、総会を「集会を招集」と規定しており、集会・招集とは、「日時・場所を特定して、集まること」を前提にしていますので、オンラインでの総会は、不可能という考え方が有力です(国会もそのようです)。

また、現実問題として例えばZOOMで総会をやりますといっても、参加するIT環境がない区分所有者や環境があっても技術的に参加ができない区分所有者が現状では、相当数いる状況で事実上参加の機会が保障されないという問題があります。

菅新政権の下で、デジタル担当大臣が創設・選任されました。マンション管理のデジタル化・IT化においても、今後の政府のイニシアティブが期待されます。

 

3 オンラインでのマンション理事会開催は可能と解釈される。

他方、オンラインでの理事会開催は、可能と解釈されます。また、特定の場所に集まっての理事会にその場に参加できない理事がオンラインで参加して出席するいわゆるハイブリッド理事会も有効と考えられます。

もっとも、オンライン理事会は有効としても、規約又は理事会運営細則で、オンライン開催のルールについて定めておくことが望ましいでしょう。オンラインにアクセスできない役員が出て来る(参加権の保証)、会議の形骸化、形式化(理事会軽視)を防ぐという理由からです。(福岡地方裁判所平成23年8月9日判決は、オンラインでの取締役会を一般論としては有効としながら、会議の要件を欠いているとして決議を無効とした。)

以上

 

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