毎年恒例の司法十大(重大)ニュースは、日本の刑事司法はこれでいいのかを考えさせられるとりわけ刑事事件関連の重大ニュースが相次ぎました。
1 袴田事件再審無罪
1966年に発生した殺人事件。死刑判決が確定した袴田巌さん(88歳)に対する再審請求事件で静岡地方裁判所は、9月26日、無罪を言渡しました。
2 旧優生保護法憲法違反判決
日本の旧優生保護法のもとで、障害などを理由に不妊手術を強制された人たちが国に損害賠償を求めた裁判で、最高裁大法廷は、同法を違憲とする判断を下しました。
3 福井女子中学生殺人事件再審事件
1986年3月に福井市の市営住宅で当時15歳(中学3年生)の女子生徒を包丁で刺殺したとされ翌年3月に逮捕。懲役7年の判決が確定して満期服役した前川彰司さん(59歳)が起こした第2次再審請求で、名古屋高裁金沢支部(山田耕司裁判長)は10月23日、「知人供述に警察の誘導の疑いがある」として再審開始を決定しました。
4 大阪地検元検事正の性的暴行事件
大阪地検トップの元検事正が当時の部下の女性検事に性的暴行を加えた罪に問われている問題で、初公判で被告は起訴内容を認め謝罪しましたが、2024年12月10日の会見では、一転し無罪を主張しています。
5 紀州のドン・ファン無罪判決(12月12日)
和歌山県の資産家で“紀州のドン・ファン”と呼ばれた会社社長に覚醒剤を摂取させて殺害したとして、28歳の元妻が殺人などの罪に問われた裁判で、和歌山地方裁判所は「元妻が殺害したとするには合理的な疑いが残る」として無罪を言い渡しました。
6 同性婚訴訟違憲判決相次ぐ
同性どうしの結婚が認められていないのは憲法に違反するとして、12月13日、第二審の福岡高等裁判所は、「同性カップルによる婚姻を法制度として認めない理由はもはや存在しない」と指摘し、幸福追求権を保障した憲法13条に違反するという初めての判断を示しました。
7 いのちのとりで裁判
生活保護費の減額をめぐる裁判が全国で提訴され、裁判所は厳しく国の政策を批判しました。(https://inochinotoride.org/)。
8 地域による報酬格差は違憲!裁判官の独立と良心を守る訴訟
弁護士から裁判官に任官した竹内浩史裁判官が、地域手当の違憲違法及び自らに対する人事差別を問う裁判を名古屋地方裁判所に提訴しました。
(https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000136)
9 大河原化工機冤罪事件
公訴提起から約1年4か月経過し第1回公判の直前であった2021年7月30日に検察官が公訴取消しをしたえん罪事件です。
(https://www.nichibenren.or.jp/activity/criminal/visualisation/falseaccusation/case4.html)
10 プレサンス冤罪事件
2021年10月28日、大阪地方裁判所が、大手不動産会社であるプレサンスコーポレーションの元・代表取締役である山岸忍氏に対し、業務上横領事件につき無罪判決を言い渡したえん罪事件です。
https://www.nichibenren.or.jp/activity/criminal/visualisation/falseaccusation/case5.html
さて、来年はどんな年になるのでしょうか?明るいニュースであふれる年にしたいものです。