1 ダーウィンの進化論とパンデミック
1859年、進化論を唱えたダーウィンは、著書「種の起源」の中で「人間は動物の一種」だと唱えて「人間は神の創造物」とする当時の教会勢力から厳しい批判を受けた。その後、ダーウィンは、1871年、著書「人間の由来と進化」の中で、「人間は猿から進化した動物だ」と唱えた。現代では、誰も疑わない心理といっていいであろう。
2 約500万年前のアフリカ大陸では、我々の祖先である猿たちは樹の上で安全な生活を営んでいた。当時、アフリカ大陸に地殻変動が発生し、大陸は東西に分断され、東側の森林が消滅し、平坦な草原の中で厳しい生活を送ることを余儀なくされた。何万年もその生活に適応していく中で、猿たちは平地での生活に適応するため二足直立歩行を余儀なくされていった。これが、猿が人間へ進化する第一歩だといわれている。
3 手が自由に使えるようになった猿たちは、次第に手の機能を進化・発達させていった。食料を獲得するために道具の使用をはじめ、頭脳を発達させ、生存を守るための共同生活は、相互のコミュニケーションの必要を生じ、複雑な言語を発達させていった。不運な外部環境の変化に対応する中で能力を発展させてきたことがわかる(それがよかったのか?は別問題であるが)。
フリードリッヒ・エンゲルスは、1876年に発刊した「猿が人間になるにあたっての労働の役割」という著書の中で、更に克明に論証した。
人間は、このように猿から進化し、複雑な社会をつくり今日まで高度に発展させてきた。言語を駆使することによって、観念の世界を志向することもできるようになり、創造力によって様々なイノベーションを起こしてきた。このように特殊な進化を遂げた人間は、万物の霊長といわれるようになった。
4 今、コロナのパンデミックの時代にある世界は、混乱の中にある。万物の霊長と言われ、未来に向けての創造力があるはずであった人間は、パニック状態の中で未来をイメージする想像力を欠如している。
たまたま、コロナで大変になっている業種、そこで働く人々がいる。そこには想像力は働かず、共感は欠如している。自分さえよければという創造力・共感の欠如である。社会の分断、言語を通じたコミュニケーションの欠如、あるべき将来に向けた創造力の欠如が日本でも世界でもまん延している。
「人間」とは、「人の間」と書く。他者との共存なくしては人間社会は存在しない。我々は、猿で居続けた方がよかったのか?今、すべての人間に問われているのではないだろうか。
以上