04-05-01 : ひとこと言わせて頂けば「謝罪のタイミング」(弁護士原 和良) 

国会では、閣僚・国会議員の年金未納問題が話題になったが、結局年金法案だけは可決成立する見込みだ。

 この問題で、福田康夫氏は、あっさりと意表をついて官房長官を辞任し、他方対応を間違った菅直人民主党代表は四面楚歌となり代表辞任に追い込まれた。両者の対応の違いは、リーダーにとって謝罪のタイミングがいかに大事かを教えている。
かく言う私も、国民年金「未納兄弟」の一人として偉そうなことが言える身分ではない。ただひと言弁解すると、私の場合は納入を忘れていたわけではなく、貧乏司法試験受験生であった時代は払いたくても経済的に払えなかったのである。今の嫁さんに拾ってもらってやっと3号被保険者になったまでである。
私は福田がいいとか菅が悪いとかを議論したいのではない。謝罪のタイミングは、事業を営む者、あるいは組織のリーダーとして、命取りになることがあるという例として教訓化すべきであろう。ミスや不祥事を隠蔽して公開と謝罪を先延ばしにして、取り返しのつかない失敗を招く例が日本企業には後を絶たない。最近の三菱ふそうも然り。経営者やリーダーは背中を見せて謝罪することは一面命取りになるが、他方で謝罪すべき時を逸するとこれも命取りになる。その見極めは非常に難しいが、人間誰でも完璧でない以上、ミスを認める勇気、謝罪する勇気はこれからのリーダーに必要な資質である。
いずれにしても、これだけマスコミは未納問題で騒ぎながら、年金法案の問題性についての分析は極めて粗雑だった。未納議員キャンペーンが問題の本質から国民の目をそらす役割を担ったと言っても過言ではない。
二大政党制キャンペーンのあおりを受け前回総選挙では社共が議席を減らしたが、もう少し両党が伸びていればまともな国会論議が期待できたかも知れないと思うのは私だけだろうか。

(弁護士原 和良「ひとこと言わせて頂けば」2004.5)

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