1 最近の世界のニュースの一番は、すい臓がんで56歳の若さで10月5日亡くなったアップル社の創始者、スティーブ・ジョブズのニュースであろう。
望まれない子供として生を受けたジョブズは、養親のもとで育てられ、大学に入るも中退。仲間と独学でインターネットの研究を行い、アップル社を創設。一躍世界のトップ経営者に躍り出る。しかし、社内の内部紛争から、アップル社を放逐される。
その後、ピクサー社を作り、トイ・ストーリーをはじめ数々のヒット作を制作。再び、アップル社に迎え入れられ、iPod、iPhone、などのヒット作を世界に送り出した。
2 その人物像については、賛否両論があり、決して万人が人格者として賞賛する人ではないようである。しかし、本当の意味で、我々の生活とビジネスを大きく変えた天才実業家であることを否定するものは誰もいまい。天才の急逝を惜しむ声は、いまだやまない。
3 ジョブズは、コカコーラの社長をヘッドハントしたとき、「お前 はいつまで砂糖水を売って生きていくのだ。世界を変える仕事を一緒にやりたいと思わないのか。」と言ったという(砂糖水を一生売る仕事もすばらしいが…)。アールナイチンゲールの言葉、「我々は我々の考えている通りの人間になる(We become what we think about.)を想起させる。ジョブズは 自分が考えたからこそ、考えた通りの世界を変える人になったのだろう。
こんな誘いを受けたら、真っ先にはせ参じてしまうのは、私がバカだからだろうか。
4 2005年のスタンフォード大学卒業式でのスピーチで、ジョブズは、エリートたちに次のように語りかける。
(http://sago.livedoor.biz/archives/50251034.html)。
Stay hungry, Stay foolish.(ハングリー精神を忘れるな、いつまでもバカでいろ)
Keep looking , Don’t settle.(探し続けなさい、決して現状に安住するな)
「君たちの時間は限られている。だから、誰かの人生を生きることで時間を無駄にしてはいけない。独断的な意見に惑わされ、誰かの思い通りに生きて行ってはいけない。誰かの意見に自分自身の声をかき消されてはいけない。そして最も重要なことは、自分の心と直観を信じて突き進む勇気を持つ事だ。心と直観はなぜだか、君が本当になりたいものをすでによくわかっているものだ。それ以外のことは全て二の次でいい。」
スタンフォード大学でのスピーチは感動で身震いがした。ご冥福を祈る。
以 上
(弁護士原 和良「となりの弁護士」「オフィス・サポートNEWS」 2011年10月号掲載)