1 中小企業法務チャンネルという番組で、昨年秋からYouTubeで、中小企業・起業家向けに、法律問題をテーマとした動画配信をスタートしました。
今月は、弁護士の頼み方というテーマで3回にわたって動画を配信しています(https://youtu.be/TfNJZor81ck)。
このコラムでは、動画では言えなかったことを番外編としてお伝えしたいと思います。
2 まずは、弁護士に仕事を依頼するなら、お金にならない事件を、身体を張って一生懸命に取り組んでいる弁護士に頼みなさい、ということです。これは、一般民事事件、家事事件、刑事事件、そして企業法務も、共通します。企業法務は、泥臭くなくスマートな事件、お金になる事件と誤解している人がいますが、大きな間違いです。特に中小企業法務は、格闘技であり身体を張らなければ社長の信頼など勝ち取れないのです。
最近とある事件で、著名なビジネスロイヤーの弁護士の諸先輩と一緒に仕事をさせていただく機会がありました。大企業が一目置く著名なビジネスローヤーには、スキルだけではなく、選ばれるだけの確固とした信念や情熱にあふれています。
弁護士法第1条は、弁護士の使命について、基本的人権の擁護と社会正義の実現を謳っています。今、SDGsという企業の行動規範が話題になっていますが、クライアントの利益を断固として擁護しながらも、企業のあるべき姿に反するアンフェアな行動に対して、クライアントと首をかけて対決する勇気がないと企業法務は受けられません。
3 このような弁護士は、お金(報酬)で事件を差別しません。正義かどうかで自分の仕事を判断します。そうするとたいてい、お金にならないしかも困難で手間暇のかかる事件を受任することになります。
困難事件に取り組むと弁護士のスキルは、飛躍的に向上します。社会的に成功している弁護士の先輩方を見ていると、困難に逃げずに立ち向かったことにより、経済的にも成功を収めた人が多いように感じます。
また、お金にならない事件に取り組む弁護士は、その結果困難事件で身につけたスキルを活かし、他の事件で適正な報酬をもらうことになります。そして、その結果、お金にならない事件に突っ込む余裕を持つことができます。
4 結果的に、ファンが集まり顧問先になったり、事件紹介者になったりして、営業してくれる。それは、オリンピックで困難挫折を克服して勝利したアスリートに多くの国民が感銘を受けるのとまったく同じことです。
昔から仕事は、忙しい人に頼め、とよく言われます。弁護士の世界も、その格言は通じるようです。
以上