03-07-01 : ひとこと言わせて頂けば「笑う相続人」(弁護士原 和良) 

遺産トラブルは弁護士のルーティンワークである。仲むつまじい兄弟間ほど骨肉の争いとなる。相続が「争族」といわれるゆえんである。

 配偶者、子、親、孫などは、被相続人と生前仲がよかったか、全く音信がなかったかに関わらず法律上の相続人となる。これが喜怒哀楽のドラマを生む。
ある中年男性は、定職にも就かず酒におぼれて親兄弟から勘当同然であった。車にでも轢かれて死んでくれればいいと思っていたら、ある日、飲酒運転・スピード違反の車にはねられて即死した。加害者から刑事弁護を頼まれ、被害者の両親に2百万円の示談金の他、自賠責保険で3千万円の賠償金を支払って、裁判所宛の嘆願書にサインしてもらった。このような相続人を業界では「笑う相続人」という。
ある離婚事件では、夫や妻、子ども名義の預貯金4千万円をもって妻が子供と一緒に家を飛び出し、離婚訴訟を提訴した。弁護士間の協議で、相手方との間で、預貯金を2千万円ずつに分けることで離婚する合意がほぼできたが、和解日の前日、夫は突然自殺した。妻は、希望の離婚ができなかったが、夫に渡す予定であった2千万円を含め全財産を相続人として相続した。おまけに妻として今遺族年金を受給している。「笑う相続人」と呼ぶのはあまりに気の毒ではあるが「事実は小説より奇なり」を地でいく事件であった。
サマージャンボ宝くじを買った人もいるかも知れないが、苦もなく転がり込んだお金は、身に付かないものだ

(弁護士原 和良「ひとこと言わせて頂けば」2003.7掲載)

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