22-02-27 : となりの弁護士「北京オリンピックの光と影」(弁護士 原 和良)

1 2月20日、北京オリンピックが閉幕した。この数週間、テレビをつけると、どの番組も長時間を割いて北京オリンピックの報道ばかりだった。
 アスリートたちのすべての力を振り絞っての懸命の競技・演技は見ている私たちを感動させるし、スポーツを通じて生きるとは何か、他人との比較ではなく自分の持てる強みを開花させることの大切さを、我々見ている市民に教えてくれる。

 

2 今回のオリンピックでも、名前はあげないが、メダル確実の前評判にもかかわらず、調整不良や予期せぬアクシデントに見舞われた選手もたくさんいた。他方で、前評判を超える活躍をし、様々なラッキーを呼び込んで大きな結果を残した選手もいた。
 神様のいたずらを見ているようであった。オリンピックが終わると、そのアスリートの一生が終わるわけではない。メダルが取れても取れなくても、あくまでも人としてのたたかいは続く。ましてや、画面を見つめて一喜一憂した我々市民の生活もこれから続く。

 

3 残念だったのは、首をかしげる反則判定など不透明ともいえるルールが物議をかもしたことだ。
 そして、最も関心を高めたのは、ロシアオリンピック委員会の選手のドーピング問題である。
 真偽はもちろん確定したわけではないが、フェアであるべきはずのスポーツが、ともすると国威発揚の手段にすり替えられ、また関係者の私的な経済的満足の手段に利用されているのではないか、という疑心を招きかねない事象であり、多くの市民が興ざめした話題であった。
 オリンピックの商業化やビジネス化も叫ばれて久しい。先の東京オリンピックもしかりである。開催都市には莫大な費用負担がかかる。
 その中で今、世界平和を掲げるオリンピックの原点が問われている。

 

4 今回の北京オリンピックのスローガンは「ともに未来へ」である。中国の強行的な 政治姿勢や国際人権問題を背景に、外交的ボイコットも起きた。
  オリンピックのニュースの裏では、ロシアとNATOの厳しい対立の中で、ウクライナへの軍事侵攻の危機が報道されてきた。
  「ともに未来へ」。私たちは、どんな未来を目指すべきなのか?
  世界では、貧富の格差が拡大し、パンデミックはそれに拍車をかけている。日本でも経済活動の制限で、苦難の中にいる中小企業や市民がいる。
  地球温暖化対策は待ったなしであり、人類は戦争に浮かれている場合ではないはずである。
  今回のオリンピックは、今の世界の光と影をまざまざと見せつけられ、考えされられたオリンピックであった。

 

以上

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