23-11-29 : となりの弁護士「パワハラ職員研修」(弁護士 原 和良)

1 先日、顧問先の企業の依頼で職員向けのパワーハラスメントに関する研修を行った。
  価値観が多様化する中で、職場をはじめとした集団・組織内での人間関係のトラブル、軋轢は増大しているように見える。また、努力しても報われない社会、日本経済の長期停滞状況というのも心の不安を助長しているとも指摘されている。
  もっとも、これまでもいじめや差別、ハラスメントは存在していたし、排除・抑圧された弱者や「異端者」が、声を上げ始めただけかもしれない。

 

2 講師を引き受けるにあたり、いくつかの資料や文献を読み漁り、講義の準備を進めることになった。
  その中で、これはなかなかいい教科書だと感心し、講義の中でも紹介したのが、「人事部主導によるパワハラ解決と管理者研修ドリル」(経営書院:小原新著)という本だ。この本には、課の部下たちが次々と退職していく中堅商社の課長が、マネジメントに悩み、カウンセラーのもとに相談に行き、職場を変えるための気づきを得ていくという、100ページほどの物語が掲載され、他の類書にはない読み応えのある本であった。

 

3 そこで書かれているテーマは、「部下は上司の鏡である」という気づきである。①部下にとって、「理想の上司」とはどのような上司なのか?⇒仕事がうまくいったときには一緒に喜んでくれる上司、一緒に仕事をして楽しいと思うし、尊敬できる上司。②上司にとって「理想の部下」とはどんな部下なのか?⇒私が与えた仕事を一生懸命にこなしてくれるやる気のある部下。③ということは、あなたが部下の仕事を一生懸命応援したり、助けてくれる上司だったら、部下の皆さんも一生懸命仕事する「やる気のある部下」になる可能性がある、といえるのではないでしょうか?
  仕事がどうしてもうまくいかないときは、その原因を他者や外部環境に責任転嫁したくなるが、それは自分が関係する他者は自分の鏡であるという気づきは重要だ。

 

4 人は、それぞれこうあるべきという信念や行動の基準をもっている。それは悪い事ではないし、むしろ生きる上で必要不可欠なことだ。しかし、その信念は、自分の信念であり他人や部下が同じ信念を持っているわけではない。目の前にある事実や現象は、本来透明無色で中立的なものであり、人は自分の信念や考え方に基づいてそこに色を付けて解釈をする。
  一気に職場のパワハラがなくなるわけではない。しかし、一人一人が、人間という存在の特徴を理解し、他人を理解することは、問題の解決の第一歩になるであろう。

 

以上

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