18-07-16 : となりの弁護士「顧客は、どうやって弁護士を選ぶか?」(弁護士 原 和良)

1 司法改革の中で、弁護士数が激増し、弁護士間の競争が激化していると言われて久しい。2,30年前は、弁護士を探すのも一苦労と、知り合いを頼って弁護士を紹介してもらい、何も知らない素人は、弁護士先生に言われるままに、事件処理を依頼し請求された報酬を支払うというのが一般的であった。
ところが、弁護士の数が増え、またインターネットが発達すると、キーワードを入力するだけで様々な法律情報を取得でき、また弁護士へのアクセスも格段と容易になった。
一見さんお断り、という業界は様変わりした。
では、今日顧客は、どんな視点で弁護士を選んでいるのだろうか。

 

2 コミュニケーション
自分を理解してくれるかという視点である。カウンセリングでいう傾聴・受容・共感は、人相手の仕事だけに弁護士に求められる基本的スキルである。日弁連の「弁護士に相談する時に何を重視しますか」というアンケートへの回答で一番多かったのは、「話をよく聞いてくれること」(58%)で、2番目の「専門分野」よりも多かった。
依頼後の、報告・連絡・相談を中心としたコミュニケーションも大事である。

 

3 確実なスキル
そして、プロフェッショナルである以上、法律実務に精通し、それを駆使して依頼者の最大限の利益を確保するということが重要なのはいうまでもない。この点では、日々社会は動いており、絶え間ない研鑽の努力が我々には求められる。

 

4 報酬(弁護士費用)
依頼者から見れば、確かに弁護士費用がいくらかかるのか、というのは最大の関心事の一つである。安ければよい、というものでもない。ダンピングに巻き込まれると、依頼者の満足のいく成果を得られないし、弁護士も十分に力を発揮することはできない。
お金儲けばかり考えている弁護士、顧客をお金だと考えている弁護士は、誰だって頼みたくないだろうから論外である。
しかし、お金をいただいて仕事をするプロフェッショナルである以上、適正な報酬で適正な仕事をする、という姿勢でなければよい仕事はできないし、顧客との信頼関係は作れないと思う。

 

5 頼りになる
最後に、企業でも個人でも、今すぐに対応してもらいたい緊急時がある。その時の緊急ニーズに可能な限り応えてくれるか、ここが腕の見せ所である。

 

6 こうしてみると、弁護士に限らず、顧客に選んでもらう仕事にすべて共通する事柄でもある。顧客目線を忘れずに仕事に取り組みたいものである。

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