20-04-28 : となりの弁護士「コロナが教えてくれたものとコロナ後の世界」(弁護士 原 和良)

1 世の中は、今はコロナ感染の話題で一色であり、今回もこのテーマについて、触れることになった。

9年前、日本は東日本大震災の大惨事を体験し、津波で多くの人々が犠牲になった。そして、引き続く福島第一原発の放射能汚染事故により、今も多くの被災者・避難者が苦しんでいる。

今回のコロナ感染の被害は、直接の感染者や感染による死者、そしてそれらの家族だけの被害にとどまらず、目に見えない恐怖の中で、社会経済活動の自粛が続き、経営や家計に経験したことのない被害を及ぼしつつある。

津波の被害は、一瞬の出来事で本当に悲惨なものである。しかし、このコロナ感染の被害が違うのは、今現在進行形の被害の未来への拡大を、私たちの意思と行動である程度コントロールできるということである。政府の体たらくについては、いたるところで指摘されているのでここで書くつもりはない。

そうではなくて、このコロナ事件を通じて、私たち自身が、これまでの社会や経済のあり方を見直すべき時期に来ているのではないか、という点である。

今、低地に住んでいる人に津波の被害が広がっている、しかし自分の家は少し高台にあるから大丈夫だろうということでは済まないということである。高台に住んでいる人も一緒になって低地に住んでいる人のことをわがこととして考え手を差し伸べる、という対応が必要とされている。

 

2 コロナウィルスの世界的拡大も一説によると地球の気候変動、温暖化と深く関係していると言われている。昨年の夏、日本は、各地で豪雨による洪水、台風被害に見舞われた。

地球温暖化は、様々な識者から喫緊の課題だと警鐘を鳴らされても、貪欲なグローバル資本主義は、ブレーキが壊れた自動車のように、自ら速度を制御することはできずにいる。

それを唯一、止めてくれた、また今後の方向転換を示唆してくれたのがコロナウィルスであったとは皮肉なものである。

東京の空は、この数十年見たこともないくらいに透き通っていて、空気は美味しい。世界の川は、工場排水や観光客の廃棄したゴミがなくなり、透き通っている。

コロナが収まった後、さあまた元の通り、地球をいじめて汚染を再開するぞ、とはいかないだろう。

人間と生物、自然界がどう調和をもってこの地球を大切にし、共存していくか。
コロナ騒動は、その方向転換のきっかけを教えてくれているし、それができないのであれば、いつまでも人類は自然からの復讐を受けるに違いない。

 

以上

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