21-06-30 : となりの弁護士「青竹の成長」(弁護士 原 和良)

1 青竹は、タケノコとして地上に顔を出してから、その後の約5年間はほとんど大きくはならないそうである。そして、5年目になると一日に1メートル以上成長して2か月から3か月の間に成竹となる。
 その間、青竹は何も成長していないのか?そうではない。私たちには目に見えなかっただけで、5年間は土の中で、びっしりと根を張り、竹が天高く成長した時に倒れないように準備をしている。

 

2 青竹の成長の話は、経営コンサルタントの話でよく引用されるたとえ話である。受験勉強や、スポーツのトレーニング、ダイエット、会社経営など、一生懸命に努力してもなかなか成果が出ない体験は、なにがしか誰でもあるだろう。
 時には、努力すれば努力するほど、成績や成果が下がってしまう時期もある。それをスランプと呼んだりする。
そういう時は、飛躍のために根を張っているのだと自分に言いきかせて、時を待つしかないのである。大事なことは、投げやりになってどうせ無理とあきらめてしまわないことだ。休息が必要なのであれば、必要な休息はとればよい。

 

3 青竹の話は、裏を返すと、成果を出している周囲の人に対する見方にも応用できる。
私たちの周りには、一気に成果を出す人が時々いる。そのような人を目の当たりにすると、人間は、羨望の念を抱いてしまう。確かに、そんな人間離れした成果を出す人はよっぽど運がいいか、天才なのかもしれない。しかし、現実にはそんな稀有な人間はいるかもしれないが、多くはない。
 多くの場合は、青竹の努力を人が見えないところでやっている。周囲の人は、土の中で一生懸命根を張る努力を積み重ねているところを見ていないので、急に成果が出たのだと思い込んでしまっているだけだ。
 結局、他人の成果を羨むことだけで終わってはそこからは、何も生まれないし、自分の成長にはつながらない。

 

4 他人は、どうでもいい。自分は、成果が出ないときでも腐らずに、根を張り続けているか、根が張られていないためにいざチャンスが訪れた時にそれに振り回されて倒れてしまわないように準備をしているか?
 それは、他人のたたかいではなく、人生における自分とのたたかいだ。

以上

 

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