19-06-26 : となりの弁護士「司法修習生」(弁護士 原 和良)

1 レストランやホテルを利用すると、「お客様アンケート」が置いてある。同じような試みをやっている法律事務所あるようだ。
サービスを向上させ、いかに顧客のニーズに合ったサービスを提供するか、それはすべてのビジネスの永遠のテーマである。

 

2 ところで、法曹界には司法修習制度というのがある。司法試験合格後に1年間(以前は2年間だった)は、実務家になるための見習いを行うのであるが、司法修習生は2か月ごとに、裁判所(刑事2か月、民事2か月)、検察庁、法律事務所、に配属されて、裁判官、検察官、弁護士の仕事をみっちり叩き込まれる。
私は、2002年から約20年間司法修習生の弁護実務修習の指導担当を引き受けてきた。最近は年に2名ほど受け入れているので、既に二十数名の教え子が裁判官・検察官・弁護士になって育っていった。

 

3 自分の仕事が忙しい中で、よくそんな後輩の面倒まで見ている時間がありますね、とよく言われるが、教えることは大変でもあるが、自分も同じように教えられて弁護士になったのだからその恩返しでもあるし、実は自分にとってとても勉強になる機会でもある。

①顧客に近い視線で自分の仕事を見てもらうことができる
司法修習生と言っても、司法試験に合格したばかりであり最も市民に近い感覚を持った法律家の卵である。その意見や感想は、なかなかストレートには伝わり切れない顧客のニーズ、顧客の自分の仕事への評価を教えてもらうことができる。

②自分は魅力的な法曹であるか
もう一つは、これから法律家になる司法修習生にとって、自分は法曹として魅力的な仕事をしているか、プロフェッショナルとしてこうなりたいという目標になっているか、それともこうはなりたくないという反面教師なのか、自己検証する絶好の機会である。

 

4 条件があれば、今後も司法修習生は受け入れていきたいと思う。来年は、海外から司法修習生のインターンを受け入れる予定である。日本の法曹の在り方について、海外から見ての感想も聞いてみたい。

以上

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