19-12-26 : となりの弁護士「驕れるもの久しからず」(弁護士 原 和良)

1 今年は、日本列島は、大雨・台風など自然災害の大被害が相次ぎました。地球温暖化に対しての地球規模での対策を協議する気候変動に関する国際連合枠組条約の締結国会議であるCOP25がフランスのパリで開催されましたが、人類は未だ有効な地球温暖化対策を示し得ていません。

待ったなしの状況に、スウェーデンの高校生であるグレタ・トゥンベリさんをはじめ、若い世代の行動が大きく盛り上がりつつあるのは、今後も注目したい点です。

 

2 さて、経済の領域では、ひと昔前まで飛ぶ鳥を落とす勢いであった日本の有名企業が、瞬く間に経営不振に陥ってしまうという現象が多くみられました。

大手企業では、思いつくだけでも日産自動車、ヤマト運輸、関西電力などの伝統的な企業が、コンプライアンスの点から大きく社会的信用を落としてしまいました。また、小売業の優等生であったセブンイレブンも、時代の変化の中で24時間営業の見直しを迫られていますし、残業代の未払い問題も社会問題になりました。

いきなりステーキも、急成長急衰退の目まぐるしい変化です。

 

3 巷では、倒産が少しずつ増え始めている、と言われていますが、それは職業柄も感じていることです。

とにかく、先進国の中では、日本だけがこの20年間実質所得・賃金が上昇していない国であり、国内消費が伸びず、他方で消費税を始めとした税負担がじわじわと生活を締め付けています。

東京オリンピックを前に、建設業・不動産業等の一部業界は好景気と言われていますが、そろそろピークを迎え、後は下り坂と言われており、坂をどこまで転げ落ちるのか、来年は不安を感じる年になりそうです。

 

4 企業の盛衰を見ていると、一つは今進行している国際化や多様化という変化に適応できていないという普遍的な共通点があります。

もう一つは、変化への対応とも関連しますが、強者の驕りです。自らの力や権力を過信し、謙虚さを失い驕りが出てくると、組織は必ずどこかで行き詰ります。

今は、絶対的に見えていたとしても、不満や不信はマグマのように地下に溜まり続け、ある限界点を超えると必ず大きな変化が起こります。

昔から、驕れるもの久しからず、と言われています。今は好調であっても常に変化に適応し、謙虚に生きなければなりません。驕れるものの前で、正義が通らないことがあっても、久しからず、を信じて、自分ができる努力を進めていきたいと思います。

 

以上

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